世界の建設現場で活躍する油圧ポンプ。高圧力高出力を突き詰めた半世紀

公開日2015.04.30

世界シェア5割を誇り、各国の建設現場を席巻する日本メーカーの油圧ショベル。その心臓部とも言える油圧ポンプは、モーターやシリンダーに作業油を送り込む重要な機器です。油圧ポンプの開発は、より大容量の油を、より高圧で高速供給するための技術を突き詰め続けた歴史です。川崎重工は国産初号機の開発以来、数々の技術革新で建設機械産業を支えてきました。半世紀以上、インフラや都市の発展に陰ながら貢献してきた油圧ポンプの挑戦をご紹介します。

建設機械などに組み込まれ、小さい力を大きい力に変えます

油圧機械産業の基礎となった「KVシリーズ」

純国産油圧ショベル初号機用に開発・採用されたのが「KVシリーズ」。使用圧力は21MPa。当時の開発者は「使い物になるまで1年かかり、アメリカのライバル品と山梨県の河原で連続500時間の比較運転を行い、川崎重工の油圧ポンプが採用された」と振り返ります。

さらなるイノベーションの黎明「NVシリーズ」

1981年に登場した「NVシリーズ」は、ピストンの加工形状の変更や摺動面の素材開発、2つのポンプを直列に結合するアイデアの採用などにより高圧・高速・小型化を実現。使用圧力は最終的に32MPaにまで向上、それでいて高い信頼性を実現しました。

部品点数を大幅に削減した「K3Vシリーズ」

NVシリーズの革新を踏襲しながらも、さらに信頼性や標準化、生産性を向上させ誕生したのが1988年の「K3Vシリーズ」です。部品点数を30%削減して価格競争力を強化。日本製油圧ショベルが世界を席巻していく原動力になりました。使用圧力は最終的に38MPaにまでなりました。

高出力密度で環境性能も高度化した「K7Vシリーズ」

K3V、さらにK5Vへと受け継がれた省エネ化などへの対応をさらに進化させたのが「K7Vシリーズ」。使用圧力は最大40MPaで、出力はK3Vと同じ重量で20%以上向上しています。効率も従来比+3ポイントの高効率化を実現しました。

建設現場の花形と言えば油圧ショベル。あまり知られていませんが、日本メーカーの油圧ショベルは世界シェアの5割を占めており、“Made In Japan”を象徴する工業製品の一つです。小型機から大型機まで、優れた油圧技術による操作性や機動性の良さ、多機能性、低騒音性、そして高い信頼性によって世界から支持されています。

しかし意外に歴史は浅く、日本初の純国産油圧ショベルが誕生したのは1965年のこと。この純国産初号機向けの油圧ポンプを開発したのが川崎重工でした。油圧ポンプはモーターやシリンダなどに作動油を供給する、いわば油圧ショベルの「心臓部」。川崎重工は純国産初号機で採用された「KVシリーズ」を1968年に開発し、油圧ポンプ事業を軌道にのせました。

油圧ポンプの進化は「高出力密度化」に尽きます。より大容量の作動油を高圧で高速に送り出し、一方では本体の小型化を追求します。KVシリーズは「50メガパスカル(MPa)の超高圧化の時代を想定した「斜板ポンプの開発」をめざした機種。斜板ポンプとは、作動油を送り出すピストンが斜板の上を摺動することで往復運動すタイプのことです。1981年に登場したNVシリーズからは、斜板の角度を深くして高圧・高速運動を可能にし、各種部品もミクロン単位で精度を磨き上げることでさらなる高出力密度化を実現しました。

最新のK7Vシリーズは、KVシリーズに比べて約10倍の高出力密度化を達成。川崎重工は、油圧分野の立役者となっているのです。

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