工事現場や建設現場で働く油圧ショベルなどの重機の自動化・自律化に貢献する油圧システム。熟練者の技術を再現し、扱いやすくすることで、労働力不足の解消や作業精度の向上、安全性向上を実現します。ものづくりへの情熱の先に社会貢献へのよろこびを感じながら、開発に取り組む従業員の声を紹介します。(本記事は、川崎重工グループの未来を描く特設ページ「Kawasaki ViSiON MAP 2030」の一部です。)
ICT開発総括部 制御システム開発部
開発三課
2009年株式会社カワサキプレシジョンマシナリ(当時)入社。自動車が好きで学生時代は学生フォーミュラに挑戦。やがて「大きな製品の一部分」よりも、「製品全体を手がけられる」という製品や仕事の規模感に魅力を感じ入社を志望。現在は建設機械向けの油圧機器の制御システム開発に携わっている。
重機をもっと扱いやすく。工事現場の「自動化」に向けた貢献
変えたいことは、工事現場や建設現場で働く重機などに用いられる油圧装置の扱いにくさ。重機を「自動化・自律化」するための重要なポイントです。例えば工場では、多くの作業が自動化・自律化されています。ものは自動で運搬され、製造や品質管理はロボットが担うことで、労働力不足の解 消や作業精度の向上、安全性の向上に役立っています。同様の課題を抱える工事や建設の現場でも、重機の自動化・自律化へ向けた研究が進められています。重機が自動化・自律化すれば、熟練工はその技術を機械に伝承して現場を任せ、より難度の高い作業に集中したり、離れた場所から安全に作業したりできる。私たちは油圧装置メーカーとして、重機の動きに影響する油圧装置特有の複雑な動きのくせをなくし、扱いやすい油圧装置を作ろうとしています。
熟練者の感覚を、システムに伝承する
油圧装置を扱いやすくするために私は、油圧ショベルの制御システム開発を担当しています。油圧ショベルとは工事・建設現場で活躍する掘削機のこと。油の圧力を利用することで、強力かつ繊細な動きを実現しています。これまで取り組んできた効率化に加え、自動的・自律的な運転を実現するシステムを目指しています。既存の油圧装置では、目視や微細なレバー操作など人の操作技術に頼る部分が多く、熟練した作業者しかできない作業もありました。それら熟練者が感覚的にやっていたことも機械でできるようにし、電子制御により、精度の高い作業を誰でも高速でできるようにしたいですね。そのさらに先、2030年には油圧ショベルが自動で働く現場を見かけるかもしれません。
ものづくりの先にある、未来へのこたえ
ものづくりへの情熱は、学生時代から変わることはありません。試行錯誤ののち、思い描いた動きを実現できると自分の想いが通じたように感じます。さらに今それが仕事という形で人々の役に立ち、社会貢献につながることは、なおうれしいことです。油圧システムの改良が重機の発展を後押しし、工事・建設現場を革新する。さらにその先には、災害現場など危険な場所で人に代わって機械が活躍する姿を期待しています。油圧システムは重機だけではなく多様な分野で使われています。今の課題解決が社会のあちこちで可能性を広げていく、そんな姿を想像しながら、こたえを探していこうと思います。
※文中に登場する数値・所属などは2022年12月の情報です。
「Kawasaki ViSiON MAP 2030」は、川崎重工グループが思い描く2030年の姿を、現在の社員の仕事を通じて紹介します。新しいモビリティ、人々の生活を支えるエネルギーやロボット、そしてそれを実現するための組織体制。社会課題に対する「こたえ」にチャレンジしていく彼らの声に触れながら、わくわくするような未来を一緒に想像してみませんか?