神戸のメリケンパーク内にあるカワサキワールドは、今年創立130年の節目を迎える川崎重工グループの企業ミュージアム。0系新幹線やヘリコプター、モーターサイクルの実物が展示され、実際に「見て・触れて・楽しく体験できる」コンセプトが魅力です。この春からは、大阪・関西万博で世界中から注目を集めた2つの近未来モビリティの常設展示もスタート。今回はカワサキワールドの企画・運営を担当する川崎重工の林智之さんに、新たな展示に込めた想いや見どころを語っていただきました。

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20周年リニューアルで大阪・関西万博の感動を神戸に繋ぐ
カワサキワールドは今年開業20周年を迎え、大規模なリニューアルプロジェクトが進んでいます。第一弾の目玉は、2025年の大阪・関西万博に「移動本能」というテーマで出展した近未来モビリティの移設。水素で動くロボティック・マルチレッグド・ビークル「CORLEO」と、陸・海・空を乗り換えなしで繋ぐ次世代公共交通システム「ALICE SYSTEM」が、2026年3月27日より常設展示となりました。
CORLEOは、岩場や未舗装路での走行を想定した4脚モビリティ。ライオンの力強い骨格やモーターサイクルで培ったデザインプロセスを適用し、乗馬のように重心移動でコントロールする直感的な操作性が特徴です。一方のALICE SYSTEMは、4人乗りのキャビンが鉄道・船・飛行機に自動的に組み込まれることで、乗り換えのストレスを解消する交通システム。どちらも「こんな未来があったらいいな」という純粋なワクワクから生まれたものです。展示パネルの中にもものづくりのワクワクを感じられる内容がありますので、ぜひその楽しさを感じ取っていただきたいなと思っています。

「CORLEO」「ALICE SYSTEM」展示の見どころ
CORLEOをご覧になったお客さまからよく聞くのが、「思ったより大きい」という声。大型バイクよりさらに一回り大きい、実物大ならではの迫力があります。近づくと、ライオン型なのに「蹄(ひづめ)」がある点にも気づきます。これは岩場での安定性を高めるため、アルプスを駆けるヤギの足に着想を得ています。現実の動物にはありえない組み合わせをロボティクスで実現したのが、Kawasakiならではのユニークな発想です。
「あぶみ」の設計も画期的で、神戸大学馬術部の学生による試乗をもとに開発し、ライディングポジションを感知して「あぶみ」の位置が自動調整される仕様になっています。実はCORLEOは既に開発中なので、皆さんに試乗していただける日もそう遠くはなさそうです。

ALICE SYSTEMは、鉄道車両にキャビンがドッキングする瞬間を再現した実物大モデルです。大阪・関西万博会場では混雑対策のため設置できませんでしたが、カワサキワールドでは展望デッキを新設し、実際に車内に座って未来の移動を体感できるようにしました。シートは鉄道車両の設計者たちがこだわり抜いた仕様で、車体のグラデーション塗装も鉄道では珍しい特徴です。近くには0系新幹線の実物も展示されており、過去と未来の車両を見比べたりするとより楽しめるかもしれません。


ワクワクこそが社会課題を解決する
CORLEOもALICE SYSTEMも、「こんなのあったらいいな」というアイデアをメンバー全員で出し合い、議論を重ねながら形にしたもの。私はこの展示を通じて、子どもたちに「ワクワクしながらものづくりをする姿勢が、社会課題を解決する発想につながる」ということを感じてもらいたいと思っています。
大阪・関西万博の開幕前には小中学校を巡り、「未来のモビリティ」を描くワークショップを開催しました。「探検を安全に便利にしたい」「他の人のためになるものをつくりたい」など、子どもたちから「誰かの役に立ちたい」という発想が自然に生まれていたのが印象的でした。子どもたち自身がワクワクしながら考えたアイデアは、カワサキワールドにも展示中です。ぜひ子どもたちの想像力や思いやりにも触れていただければと思います。
実物に触れる体験が体の記憶として残る
カワサキワールドが一貫して大切にしてきたのは、「実物に触れること」の体験価値。0系新幹線の運転室や、ヘリコプターの客室など、通常は入るのが難しい場所に入って操作レバーや座席に触れる体験を常設展示として実現しています。触ることで初めてわかる、質感、重さ、スケール感。そういう体験こそが、ものづくりのワクワクを体の記憶として未来へと残していってくれるのではないでしょうか
来場者の皆さんの「これが欲しい」「こんな未来が来てほしい」という声が、ものづくりを実現させる力になります。訪れるたびに新しい発見があり、誰かに話したくなる。そんな場所であり続けたいと考えていますので、子どもから大人まで、ぜひ神戸のメリケンパークへお越しください。

■ 施設情報
カワサキワールド
神戸市中央区波止場町2-2(神戸海洋博物館内)
開館時間:10:00〜18:00(最終入館17:30) 月曜休館(祝日の場合は翌平日休館)
入館料:大人900円、小・中・高生400円(神戸海洋博物館との共通料金)








