地域間の医療格差の解消や遠隔医療などへの貢献が期待される、メディカロイドの手術支援ロボット「hinotori ™サージカルロボットシステム」。医療の分野でもロボットが活躍しています。その活躍の場をさらに広げるため、医療従事者の方とも共同で開発に取り組む従業員の声を紹介します。(本記事は、川崎重工グループの未来を描く特設ページ「Kawasaki ViSiON MAP 2030」の一部です。)
薬事臨床開発部 臨床開発課
2018年株式会社メディカロイド入社。製薬業界での営業職を経て、医療ロボットに興味を持ったことが志望のきっかけ。医療機関におけるシステムの有効性、安全性評価のほか、営業での経験を生かし、医師の声をロボット開発チームに届ける架け橋として奮闘している。
産業用ロボットから、医療ロボットへの挑戦
メディカロイドの「hinotoriTM サージカルロボットシステム」は、国内で初めて作られた手術支援ロボット。操作ユニットで行う医師の手技を、手術を行うロボットで忠実に再現することができます。現在、手術支援ロボットはアメリカ製のものが主流ですが、国内の医師からはかねてより国産のロボットが待望されていました。「医師が操作しやすく、日本の医師の繊細で高い技術をそのまま患者さまに提供できるものを」。産業用ロボットの領域で強みを発揮してきた川崎重工グループだからこそ、期待も大きかったのかもしれません。「hinotoriTM」は、ロボットの活用が先行して浸透している泌尿器科を皮切りに、消化器外科および婦人科にて承認を取得、臨床に使用されており、今後さらに活躍の場を広げることを目指して開発が進んでいます。
現代の医療は、本当に平等だろうか?
日本には国民皆保険制度があり、誰もが平等に保険医療を受けられる仕組みがあります。しかし人口分布によって医師の経験の偏りや、医師の数、設備など都市部と地域では格差があるのが実情です。私は「hinotoriTM」がそこに一石を投じる存在となることに期待しています。経験の少ない医師をロボットが支援することで、スーパードクターと遜色ない手術が可能になるかもしれない。医師の少ない地域でも、都市部にいる医師が遠隔操作で手術することができるかもしれない。ロボットが活躍できるようになれば、みんながよりよい医療を住み慣れた場所で受けられるようになると考えています。その実現のために、ロボットそのものの開発だけではなく、「hinotoriTM」をさらに活用いただくための手技の開発も医療従事者の皆さまと共同で力を入れていきます。
人間とロボットの相棒関係を。まずは医療から
ロボットは人間の相棒のような存在であるべきだという、川崎重工の橋本社長の考え方が、私はとても好きです。2030年にはロボットが、人間の仕事を奪う、人間を支配するといった敵対した存在ではなく、友だちのような存在だったり、人間のサポートをすることで私たちがよりクリエイティブな仕事に集中できる環境を作ってくれたりする存在となったらいいですね。ロボットが人間の相棒になる未来へ向けて、まずは医療の分野で何ができるのか。その答えを探しながらロボットと医療現場をつなぐ役割を担っていきます。
※文中に登場する数値・所属などは2022年12月の情報です。
「Kawasaki ViSiON MAP 2030」は、川崎重工グループが思い描く2030年の姿を、現在の社員の仕事を通じて紹介します。新しいモビリティ、人々の生活を支えるエネルギーやロボット、そしてそれを実現するための組織体制。社会課題に対する「こたえ」にチャレンジしていく彼らの声に触れながら、わくわくするような未来を一緒に想像してみませんか?