日常的に使える。 手軽さが、エネルギー問題を解決する

公開日2022.12.22

次世代のクリーンエネルギーとして期待される水素。社会でもっと当たり前の存在にするため、液化水素の安全・大量輸送を実現する大型液化水素運搬船の開発に取り組んでいます。世の中のエネルギーをガラッと変える「世界初」に挑む従業員の声を紹介します。(本記事は、川崎重工グループの未来を描く特設ページ「Kawasaki ViSiON MAP 2030」の一部です。)

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エネルギーソリューション&マリンカンパニー
船舶海洋ディビジョン 技術総括部
液化水素運搬船開発部 開発設計一課
持田 邦彦
PROFILE

2016年入社。もともとは釣りが趣味で、釣りの際によく乗っていた船にも興味を持ち、造ってみたいと考えるように。船体やタンクの設計を経験し、現在は大型液化水素運搬船の事業で「世界初」を成し遂げようとしている。

水素が身近なエネルギーとなる架け橋に

川崎重工グループにおける水素事業全体で、共通して描く夢。それは、水素が次世代エネルギーとして当たり前の選択肢になっていることでしょう。一方、多くの人にとってはまだ水素は身近でなく、当たり前のように水素が使える世界は想像しづらいところがあるかもしれません。理想的な水素利用の例を挙げるなら、ガソリンスタンドと同じくらい街中に水素ステーションがあるような状態。あるいは、都市ガスと同じくらいの金額で水素を使える状態です。水素エネルギーを当たり前に使うには、ただ使えるだけでは足りません。もっと手軽に、そして金額的にも使いやすくする必要があると考えています。

次世代エネルギーを運ぶ、大型液化水素運搬船

より身近で使いやすいエネルギーにするには、どうするべきか。水素を、つくる・はこぶ・ためる・つかう、一連の流れを安全かつ大量に行い、価格を下げることが必要です。特に、液化させた水素を高い純度で大量に、というのは高度な技術が必要。そこで活躍を期待されているのが、大型液化水素運搬船です。大きさが40m以上もある大型タンクを4基搭載し、安全かつ大量の液化水素を運ぶ船。液化水素を気化させないために−253℃に保てるタンクシステムを考えたり、そもそも40m以上ある超大型かつ新型のタンクをいかに製造するかを製造部門と相談したり。これまでの経験にはないハードルの高いプロジェクトだと感じる部分もありますが、それゆえにやりがいも感じますし、役職や担当の垣根を越えて、みんなで額を寄せ合いながらアイデアを出し合う時間は、楽しいものとも感じています。

成功すれば、世の中をガラッと変える「世界初」に

川崎重工はすでに液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」で、日豪間の水素サプライチェーンの実証に成功していますが、今はこの船の実に100倍以上の液化水素を運ぶ大型船の一番船の実現を目指しているところです。成功すれば世界初の事例であり、世界のエネルギー使用状況をガラッと変える、その起点になれるのかもしれません。もちろん最初の船が生まれたのちには、2隻目、3隻目と続くように。全く同じものよりも、コスト最適化など、少しずつ進化した船へと育てていけたらと考えています。現在は、従来的なエネルギー社会と脱炭素社会へのちょうど転換点。日常で使用するエネルギーが、今後水素をはじめとするクリーンなエネルギー100%の世の中へ向けて変わっていけるように。エネルギーの「はこぶ」を担い、未来を引っ張る存在となってくれたらいいですね。

※文中に登場する数値・所属などは2022年12月の情報です。

「Kawasaki ViSiON MAP 2030」は、川崎重工グループが思い描く2030年の姿を、現在の社員の仕事を通じて紹介します。新しいモビリティ、人々の生活を支えるエネルギーやロボット、そしてそれを実現するための組織体制。社会課題に対する「こたえ」にチャレンジしていく彼らの声に触れながら、わくわくするような未来を一緒に想像してみませんか?

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