理想は、「誰にも気づかれずに」 水素移行すること

公開日2022.12.22

利用時に二酸化炭素を排出しない水素を主な燃料とする発電用ガスタービン。高まる水素発電への需要に応えるべく開発が進んでいます。人々の便利な生活を変えずに守るため、進化する技術で多様なガスタービンの開発に挑む従業員の声を紹介します。(本記事は、川崎重工グループの未来を描く特設ページ「Kawasaki ViSiON MAP 2030」の一部です。)

06_水素ガスタービン_宇土★20220804KHI_213.jpg
エネルギーソリューション&マリンカンパニー
エネルギーディビジョン エネルギーシステム総括部 
ガスタービン技術部 燃焼器技術課
宇土 貴丈
PROFILE

2013年入社。高校生の頃から環境問題へ強い関心を持ち、「環境問題×機械系技術」を軸に川崎重工へ就職。ガスタービン開発のなかでドイツのアーヘン工科大学との協業を経験し、仕事の新たなおもしろさと自身の大きな成長を実感中。

発電を変えれば、日本のCO2が変わる

昔の夏は、こんなに暑くなかった。たった数十年で、地球環境は大きく変わってしまった。進路を考えるときに思い出したのは、高校生の頃から関心を寄せていた環境問題のことでした。地球温暖化と強く関係のある、二酸化炭素(CO2)。日本における排出量は、約40%が発電をはじめとするエネルギー関連のものだといわれています。つまり日本の発電を変えれば、日本のCO2排出量は大きく削減できる。この気づきを得たとき、私の進路は自然と決まっていたのかもしれません。川崎重工で、発電所プラントに携わっていこうと決めました。

水素100%も、水素+αも。ニーズに合わせて、新たな進化を

水素は燃焼時にCO2が発生しないため、水素発電の需要はますます高まりを見せています。なかでも私は、水素を主な燃料とする発電用ガスタービンの設計・開発を担当。天然ガスなどのさまざまな燃料や、今後主流になると注目されている水素を使用した発電用ガスタービンを扱います。同じガスタービンでも、従来燃料と水素では燃え方が異なるのが、おもしろいところ。目下取り組んでいるのは、安定燃焼させながら、同時に発生する有害物質の窒素酸化物を低減させることです。また、燃焼器内の燃焼状況によって使える部品や意識すべき安全性なども変わってくるため、燃料の流路や噴射方法などを調整することで、より安全で効率の良いガスタービンの燃焼方法を探っています。国や状況によって燃料の使い方や需要は異なりますから、将来的にはニーズに合わせて、いま以上に多様なタービンを開発していきたいです。

人々の生活を変えないために、技術は変わっていく

私の理想ですが、水素をはじめとする次世代エネルギーへの移行は、誰も気づかないうちに進むべきものだと思います。もちろん、地球環境のことは一人ひとりが意識してほしい。しかし今の生活が極端に不便になったり、大きなコストがかかってしまうエネルギーになるのなら、それは結局浸透しないのではないでしょうか。生活そのものは変わらず、従来燃料と同じように水素が当たり前に使われる世の中を作りたいのです。そのなかで、まずは2030年。川崎重工は大型機種を含めた水素専焼ガスタービン全ラインナップで水素化を展開するとともに、少なくとも当社の国内工場においては水素エネルギーを中心に使用していたい。人々の生活を大きく変えてしまわないため、私たちが挑戦する大きな変革です。

※文中に登場する数値・所属などは2022年12月の情報です。

「Kawasaki ViSiON MAP 2030」は、川崎重工グループが思い描く2030年の姿を、現在の社員の仕事を通じて紹介します。新しいモビリティ、人々の生活を支えるエネルギーやロボット、そしてそれを実現するための組織体制。社会課題に対する「こたえ」にチャレンジしていく彼らの声に触れながら、わくわくするような未来を一緒に想像してみませんか?

新着記事

ランキング

  • 1
  • 2
  • 3
この記事をシェアする

ニュースレター

ANSWERS から最新情報をお届けします。ぜひご登録ください。