ALICE SYSTEM 大解剖 〜リアリティにこだわった設計思想とは?〜 Part 3:ジェットフォイルをベースにした「ALICE Ship」

公開日2025.09.03

"空飛ぶ船"の異名を持つ全没翼型水中翼旅客船「ジェットフォイル」をベースにしたALICE Shipは、水素で進む超高速旅客船。海外への渡航など移動距離の長い航空機との差別化を図るため、100km程度の航路を2時間弱で移動できる設計とした。船旅を楽しめるよう、船内には展望席エリアやラウンジエリアを設置。自動衝突防止システムによって浮遊物との衝突を避け、航行中の自由な移動を可能にしている。

谷口

離島に住む人が海外に行くためには、一度本島に船で渡ってからさらに飛行機や船で海外に渡る必要があり、心身ともに負担が大きいのが現状です。そこで、離島など海上移動が必要な場所からのスピーディーで快適な移動を可能にするため、海面から浮上することで荒波でも船酔いの無い安定した高速航走ができる「ジェットフォイル」をベースにALICE Shipを設計しました。

古賀

「ALICE Ship」は完全自動運転を採用して、通常操縦室に使われる眺めの良い船内2階前方をお客様用の展望席にしています。また、従来のジェットフォイルではシートベルト着用が必要ですが、本機では自動衝突防止システムを導入することで、ラウンジや船内を自由に歩き回ることができる設計となっています。

古賀

キャビンのドッキングはALICE Railと同じように側面からを想定していますが、波による揺れや潮の干満差を解決できるよう、船体を海面から持ち上げるリフターの活用を検討しています。他にも、船とキャビンの接続部に塩害対策を施すなど、今後は海のモビリティ特有の課題を解決していかなければなりません。

谷口

緊急時の脱出もその一つで、これまで体の不自由な方や高齢の方の救命いかだへの移乗は乗組員のサポートを必要としていました。しかしALICE SYSTEMならば、搭乗したままキャビンを海に浮かべるような機能を備えることも考えられます。

エネルギーソリューション&マリンカンパニー
船舶海洋ディビジョン 技術総括部
商船開発部 高速船計画課
谷口 公俊 (ALICE Ship担当)
エネルギーソリューション&マリンカンパニー
船舶海洋ディビジョン 技術総括部
商船開発部 高速船計画課
古賀 大志 (ALICE Ship担当)

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