360°旋回で船の繊細な操縦を支える、船用プロペラの王様 「レックスペラ」

公開日2018.04.30

360°旋回式のプロペラで、繊細で機敏な操船や精度の高い定点保持を可能にする「レックスペラ」。1983年の初号機受注から、安定した船位保持のもと洋上作業を求められるタグボードやドリルシップ、ケーブル敷設船などに使われ続けています。より厳しい海象条件下での安定と、さらに機敏な操縦を目指すレックスペラの開発の歴史を辿ります。

「レックスペラ」は、水平方向360度の任意の方向に推進力を得られる全旋回式推進機で、推進機・舵の機能を備えています。高い操船性を得られることから、主にタグボートやサプライボート、ドリルシップ、ケーブル敷設船に採用されています。

川崎重工は、1983年に推進機と舵と減速機の機能を持つ全旋回型推進機「レックスペラ」の生産を開始し、これまでに約1,000基の納入実績があります。

プロペラの回転、プロペラ全体の旋回、それらを制御する油圧技術、装置全体のバランス性の高い精度など、レックスペラは川崎重工の総合技術力の粋を集めて設計され、世界中で愛用されてきました。

特に、掘削を行うドリルシップ、採掘された油やガスを運搬するシャトルタンカー、洋上基地に物資を運ぶサプライ船向けなど、洋上の石油・ガス掘削に関連するオフショア支援船向けに豊富な実績があります。強風や潮流の激しい海象条件下でも安定して動作するレックスペラの信頼性に加え、さまざまな条件に対応できる川崎重工の「オーダーメイド」の開発力が評価され、シェアを拡大してきました。

2018年には新型レックスペラ「E型」を市場投入し、早くも4基の受注を獲得。新たなベストセラー機として今後の拡販が期待されています。

1983

レックスペラ初号機受注

初受注は日本国内のタグボート向けでした。明石南工場(兵庫県明石市)で製造を開始。クラッチおよび油圧ポンプを本体と一体化させた国内初のオールインワンデザインが話題になりました。

1986

レックスペラA型初号機納入

A型の市場投入により、旋回式スラスタの国内最後発メーカであった川崎重工のシェアが大幅に拡大。タグボート以外の船種に旋回式スラスタが導入される起点となりました。

2001

地球深部探査船「ちきゅう」向けに世界最大クラスのレックスペラ6基を納入

人類史上初めてマントル域までの大深度掘削ができる「ちきゅう」。船から掘削ドリルで海底を掘りぬくために、アンカーや係留索で船を海底に固定せずとも、6基のレックスペラが連動して、掘削作業中の船を洋上の一点に保持します。風速23m/秒、波高4.5m、潮流3-4ノットという厳しい条件下でも、船を最長1年間定点保持し続けます。

2003

シャトルタンカー向けに昇降式レックスペラを初受注

シャトルタンカーは洋上の石油生産施設等から油を積込み、陸上の石油貯蔵基地などへピストン輸送する船です。定点保持が必要な洋上作業では、あらゆる方向に推力を出せるレックスペラが大活躍。

昇降式レックスペラは油圧で船内に格納することができるため、船速が必要な輸送時は、本体を格納して船体抵抗を小さくし高速航行に寄与することができるのです。

2013

新工場が竣工。生産能力を拡大

オフショア市場の伸長に伴う需要拡大への対応として、播磨工場(兵庫県加古郡)に新工場を完成させ生産を開始しました。

2018

新開発の旋回式スラスタ「E型レックスペラ」を初受注

推進性能の向上による省エネ化、船内におけるメンテナンス性の容易化、環境に優しいという特長を有するE型の開発を完了し市場投入。2018年下期から中国・天津港で運航されるタグボート向けに4基を初受注しました。

プロペラの回転、プロペラ全体の旋回、それらを制御する油圧技術、装置全体のバランス性の高い精度など、レックスペラは川崎重工の総合技術力の粋を集めて設計され、世界中で愛用されてきました。

特に、掘削を行うドリルシップ、採掘された油やガスを運搬するシャトルタンカー、洋上基地に物資を運ぶサプライ船向けなど、洋上の石油・ガス掘削に関連するオフショア支援船向けに豊富な実績があります。

強風や潮流の激しい海象条件下でも安定して動作するレックスペラの信頼性に加え、さまざまな条件に対応できる川崎重工の「オーダーメイド」の開発力が評価され、シェアを拡大してきたのです。

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