産業用ロボットから、総合ロボットへ。各時代で労働力不足に応えた川崎重工のロボットたち

公開日2014.10.31

高度経済成長まっただ中の1968年、労働力不足を解決するために国産初の産業用ロボットを開発した川崎重工。以来半世紀以上にもわたり、さまざまな産業をロボット技術で支えてきました。そして今、川崎重工のロボット開発の挑戦は、「産業用」の壁をも超えようとしています。人の暮らしをより近くで支えるロボットの開発の歴史を、年代別に振り返ります。

今やものづくりに不可欠な存在となっている産業用ロボット。世界では、日本製の産業用ロボットが過半数を占め、日本は「ロボット大国」として世界のものづくりを支えています。その先駆が川崎重工で、「産業用ロボットの父」と呼ばれたエンゲルバーガー博士が創始した米ユニメーション社と提携して1968年に国産初の産業用ロボットの開発に成功。1970年代に入ると大手自動車メーカーに相次いで導入され、これを機に日本は産業ロボット大国への道を歩み始めます。

川崎重工では、自社工場でさまざまな用途へのロボットの活用を試み、その知見が他の産業分野での活用へとつながっていきました。例えば、明石工場(兵庫県)での工作機械の自動運転システム(1971年)は、機械加工の自動化に産業用ロボットを適用した初の試みでした。

一時、ロボット メーカーは200社を超えましたが、その競争のなかで生き残ったメーカーに共通するのは、ロボット勃興期に川崎重工が試みた、新しい分野への積極的な適用を自らの課題とした点にあります。

その意味で、川崎重工の産業用ロボットの開発は、日本のロボット産業のDNAを形づくるものだったのです。

国産初の産業用ロボット「ユニメート2000型」

ユニメート2000型

1968年、米ユニメーション社と技術提携し、翌1969年から国産初の産業用ロボットの商業生産を開始しました。

滑らかな動きで電子部品製造を支える、クリーンルーム用ロボット「NTシリーズ」

NTシリーズ

微細な塵の混入も許されないクリーンルームでの電子部品製造。ウェハの搬送に活躍する水平多関節型のロボット。独自の駆動部により高精度で高剛性、そして滑らかな動きを実現しています。

小型で高精度の搬送を実現した、高速ピッキングロボット「Yシリーズ」

Yシリーズ

小型ながら最大可搬質量が2kgと3kgの2機があり、高速・高精度・安全な搬送が可能です。

食品、薬品 、化粧品の製造ラインのみならず、電子関連機器まで幅広い用途で活用されています。

溶接のサイクルタイムを大幅削減した、スポット溶接用ロボット「Bシリーズ」

Bシリーズ

垂直多関節型の溶接ロボット。アームの軽量化や高出力・高回転小型 モータ、最新の防振制御などにより サイクルタイムを大幅に短縮。さらにケーブル・ホース類をアーム内に内蔵することで、隣接ロボットや周辺装置との干渉を解消しました。

衛生面と人的ミスのリスクを軽減する、医薬・医療向けロボット「MS005N」

MS005N

ロボットによる作業の自動化への要求が高まっている医薬・医療現場でも、川崎重工は先駆的な存在です。人が介在することによる作業ミスや微生物の混入を防ぎ、抗ガン剤などの高薬理活性医薬品の取り扱いによる感染を防ぎます。

MS005Nは、オールステンレス構造とすることで薬液耐性が高く、洗浄性、サニタリー性に優れたロボットです。

産業用ロボットは、機械技術、エレクトロニクス、コンピュータ、サーボモータ、センサなどの総合技術であり、利用技術、生産技術、現場技術の裏付けがあればこそ生産現場で力を発揮します。その総合力を背景に 、過酷で困難な作業はロボットに任せ、自らはより人間的な作業に集中するという、人間本位のものづくり哲学が、川崎重工のロボット事業の基本思想になっています。

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