モーダルシフトをけん引し続ける、機関車づくりの歴史

公開日2019.07.31

温室効果ガスの排出量削減を目指して、世界的に鉄道輸送の利用拡大、いわゆるモーダルシフトが進んでいます。このモーダルシフトをけん引しているのが川崎重工の機関車です。20世紀初頭の蒸気機関車時代から日本の鉄道輸送を支え続け、累計5,000両以上の機関車を製造してきました。自動車輸送に比べ、約92%のCO2削減を可能にする鉄道輸送。今なおその中枢を担い続ける、川崎重工の機関車づくりの歴史を辿ります。

大正の貨物輸送を支えた蒸気機関車、「9600形」

大正前半期の貨物用標準機関車として量産された蒸気機関車。「キュウロク」の名で親しまれ、昭和の蒸気機関車終焉の時期まで全国各地で活躍しました。1925年までに川崎重工は、国産784両中686両を製造しました。

電気機関車時代をけん引した、「EF65形」

電気機関車時代をけん引することとなる直流電気機関車の標準機。EF65形では、高速用の500番代が製造され、最高時速は110kmに向上。電磁ブレーキ指令装置も備えています。

切換式液体変速で高い列車入換性能を実現した、「DE10形」

列車入換用の量産機。前身のDD51形を改良して1,250馬力機関と高速・低速切換式液体変速機を1組搭載しています。従来の入換用機関車よりも軸重を軽減し、支線でも列車をけん引できるようにしながらも、重量を増して入換性能を向上させています。

北海道の雪と寒さに屈しないディーゼル機関車、「DF200形」

北海道の非電化区間を走る新型の電気式ディーゼル機関車。従来機の1.5倍の出力があり、高速性能を備えています。耐寒・耐雪設備に加え、GPS利用の加速検知装置も初めて装備されました。

「EF65形」の速度と馬力をさらに向上させた量産機、「EF210形」

旧国鉄時代に最も量産されたEF65形の置き換え用機関車として開発されました。主に東海道・山陽線高速コンテナ列車けん引用機関車として使われ、3,390kwの出力で最高速度は時速110km。1,300tの荷物をけん引できます。

20世紀初頭、官営工場で行われていた機関車製造では、多くの部品を輸入に頼らざるを得ませんでした。この状況は外貨節約に努める政府の悩みの種であり、早急な完全国産化が悲願となっていました。

その期待に応えたのが、川崎重工と汽車製造です。1972年に汽車製造が川崎重工と合併したことにより、日本における機関車製造の大河は川崎重工が体現することになります。製造拠点の兵庫工場では、2018年12月に機関車製造累計5,000両を達成しました。

機関車は、けん引する貨車や客車の重量などにより、大型から小型まで様々なタイプが設計されます。オーダーメードのものづくりが、機関車をより精緻で高性能なものにしていきました。蒸気機関車は、国内商用向けでは1953年に製造された「川崎製鉄千葉25tC」が最後となり、主役の座は電気機関車へと移ります。

後背に急峻な山々が迫る日本の国土では、電気機関車にも急勾配を登り切る力と旅客運行を阻害しない高速性能が求められました。多くの課題への挑戦が、多くの先進性能を生み出していったのです。

そして、5,000両目の記念すべき車両となったのは、JR貨物の主力機として100両以上の実績があり、先進性能を誇るEF210形でした。1,000tを超える荷物を引き、時速100kmを超えるスピードで疾走していく機関車を目にすれば、否が応でも技術の重層さを実感せざるを得ないでしょう。

鉄道輸送の利用拡大=モーダルシフトをけん引している機関車。20世紀初頭の蒸気機関車から始まる日本の機関車の歴史は、川崎重工の機関車づくりの歴史そのものなのです。

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