環境負荷を減らし市民の足を支える、アメリカ鉄道車両事業の歴史

公開日2015.07.31

ニューヨークやワシントンD.C.など、主要都市の新たな市民の足として相次いで採用され、累計2,000両以上という驚異的な納入実績を誇るのが、川崎重工の鉄道車両です。人ひとりを運ぶのに、自動車の8分の1しかCO2を出さないと言われる鉄道輸送。耐久性や性能面でも高い要求値をクリアし、環境負荷の低減に貢献してきたアメリカでの鉄道事業の歴史を辿ります。

1982

世界初の平外板方式ステンレス車体構造を実現した、ニューヨーク市地下鉄「R62」

R62は、世界初の平外板方式ステンレス車体構造を実現。車体反転艤装(ぎそう)方式による、床下・天井艤装の実践など製造面でも革新を遂げました。

1997

コンピュータ制御で革新を起こした、ニューヨーク市地下鉄「R142A」

コンピューター制御による運行・メンテナンスの合理化、タッチスクリーンメッセージの表示による運転席モニタリングシステムの採用など電子面で大規模な技術革新。衝突安全性能の研究では日本企業初の学会論文賞を受賞しました。

2002

アルストムとの共同開発で生まれた、ニューヨーク市地下鉄「R160」

川崎重工とアルストムで共同受注。アルストムが製作した1002両の台車はすべて川崎重工製です。設計などのプロジェクトのエンジニアリングリーダー役を務めました。

R160は、契約上要求された車両事故発生までの最低走行距離は10万マイル(約16万1,000km)でしたが、川崎重工製車両は約160万マイルを記録しました。

2015

デジタル面でも最新技術を搭載したワシントン初のステンレス鋼製構体、ワシントン首都圏地下鉄「7000系」

ワシントン首都圏交通局として初めてステンレス鋼製の構体を採用した新型車両。デジタルコンテンツ表示装置やCCTVカメラ、情報伝送システムなど最新システムを備え、安全性・信頼性・快適性を大幅に向上させました。

日本で鉄道車両のトップメーカーとして時代をリードしてきた川崎重工は、1979年にフィラデルフィアの路面電車を受注して米国市場に参入。1982年にはニューヨーク市交通局から「R25」全325両という大型受注を獲得し、米国事業を本格化させました。

ステンレス製で丸みを帯びた先頭車両を持つR62は、それまでの地下鉄のイメージを一新。クリーンで安全なニューヨーク地下鉄のイメージアップに貢献しました。

川崎重工は納期厳守、高品質維持、細やかなアフターサービスで信頼を築きます。「R62」はそれまでの車両と比べて故障率を大幅に低下させ、契約要求の最低走行距離の約10倍の距離を故障なしで走り、ニューヨーク市交通局の関係者を驚愕させました。以後もボストン、ロングアイランド、ワシントンなどの主要交通当局から相次いで指名を得ました。ワシントン首都圏交通局向けでは、2018年頃には同交通局が保有する車両の半数以上が川崎重工製に置き換わる予定です。

米国において川崎重工は、すでにニューヨーク州とネブラスカ州に車両製造工場を備えています。また2002年には地下鉄電車「R142A」の衝突安全性能の研究で、アメリカ機械学会およびアメリカ電気電子学会から日本企業としては初めて最優勝論文賞を受賞するなど、現地に深く根ざした事業活動を展開しています。

米国での実績は、台湾やシンガポールなどでの大型受注にも寄与。川崎重工は「Kawasaki 事業ビジョン2020」で、世界トップクラスの鉄道車両メーカーになることを掲げています。

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