豪雪地帯で冬の道路交通を支える除雪車両。これまでは、路面に積もった新雪を取り除く「除雪トラック」と、集めた雪をまとめて飛ばす「ロータリ除雪車」を使い分けなければなりませんでした。川崎重工グループのNICHIJOは、除雪トラックとロータリ除雪車の機能を兼ね備えた新車両「HTR300M」を開発。トラック前部のプラウを取り替えることで、効率的な除雪を実現する技術をご紹介します。
トラック前のアタッチメントを10分で交換して除雪車の効率運用を実現
川崎重工グループの日本除雪機製作所は、大型ロータリ除雪車の国内トップメーカー。日本初の「油圧走行方式」を開発するなど、除雪機のリーディングカンパニーだ。
その最新鋭機が、「多機能型ロータリ除雪車 HTR300M」。なんとこの除雪車、トラック前部にあるプラウと呼ばれる斜めの除雪装置とロータリ除雪装置を簡単に取り替えられるのである。プラウで雪を路肩に寄せ、次にロータリで吹き飛ばす。従前は別々の除雪車だったが、「積雪量に応じて除雪車の効率的な運用を行い、結果として除雪コストを削減するために開発されました」(株式会社日本除雪機製作所技術部 梅田 佳彦 部長)。
簡易着脱機構を採用しており、オペレータが短時間でかつ容易に装置を交換することが可能になった。意外に知られていない除雪機のビッグ・イノベーションである。
色々な場面で活躍中
除雪作業に応じて変更ができるステアリング方式
ロータリ作業時には、センターピンが屈折して狭い交差点でも容易に除雪車の向きを変えられる優れものです。
トランスミッション
エンジンの動力を作業用と走行用の2系統に効率的に分配する「動力分配方式」で、日本除雪機製作所のオリジナル技術です。
エンジン
高トルクのエンジンを搭載して強力なパワーを生み出します。
オーガ(リボンスクリュー型)
雪を崩して巻き込むロータリを徹底研究して生まれたオーガ(リボンスクリュー型)。これがロータリの標準になっています。路上に残されたチェーンの噛み込み防止装置も付いています。
シュート
かき集められた雪を吹き飛ばします。オペレータ操作で、伸縮、吹き出し口の角度変更も自在。
雪切
雪堤や雪を切り崩します。
ブロワ
オーガの背後に控える羽根が回転して雪を吹き上げます。
運転室
エンジンの回転制御と速度制御を分離して効率をアップした「ペダル↔レバー走行モード」。車両状態のモニタリングシステムなど電子技術もフル活用しています。
グレーダ
凍った路面を削り取ったり、除雪後の整地を行う「刃」がグレーダ。滑らかな路面がつくり出されます。
技術部部長
技術部 グループリーダー
技術部 チームリーダー