100%自社製造。一貫した生産体制で進化をくりかえす、純国産のガスタービン

公開日2014.05.31

ガスタービンの性能を高め、普及させていくことは、地球の資源を長く安定して使うことにつながっていきます。持続可能な社会の実現に向け、川崎重工は開発・設計・生産の一貫体制の利点を活かし、市場ニーズの一歩先をゆくガスタービン開発に努めています。発電効率の向上に挑み続ける、志賀 早希子開発・設計担当に話を聞きました。

エネルギー資源を有効活用するために、発電効率の向上に挑み続ける

分散型電源※1として、発電の効率性が求められるガスタービン。圧縮機とタービン内の翼の間を流れる複雑な空気流を解析し、最大限の力を引き出すことが、効率を上げる大きなポイントです。

私たちは世界トップレベルのスーパーコンピューター「京※2」による多段CFD(計算流体力学)解析を基に、翼列の形状や取り付け角度の調整を行うことで、世界最高効率を生み出すことに成功。解析技術の進歩によって、開発から設計までのスピードも格段に向上しました。

ガスタービンの性能を高め、普及させていくことは、地球の資源を長く安定して使うことにつながっていきます。持続可能な社会の実現に向け、川崎重工は開発・設計・生産の一貫体制の利点を活かし、日夜、市場ニーズの一歩先をゆくガスタービン開発に努めています。

※1 分散型電源:比較的小規模な発電装置を消費地の近くに分散配置して電力の供給を行なう方式や設備

※2 独立行政法人理化学研究所に設置されたスーパーコンピューター「京」。その電気設備には、川崎重工業の6MW級ガスタービン2台からなるコージェネレーションシステムが用いられています

高い環境性能を次世代へ。今を生きる私たちの責任

大気汚染や酸性雨といった環境問題が世界中で注目されており、ガスタービンにも高い環境性能が求められています。川崎重工では長年NOx(窒素酸化物)をほとんど排出しない燃焼器の開発に取り組んできましたが、低NOx実現のネックになっていたのは燃料の燃焼方法でした。

従来の安定燃焼方式だけではNOx低減に限界があり、NOx排出量を抑えるためには希薄予混合燃焼※3によって局所的な高温部分をなくして温度分布をできる限り均一にする必要がありました。しかし、燃料の濃度が薄いため火が消えないよう安定的に燃焼させるには困難が伴います。

そこで、川崎重工独自の追い炊きバーナーを搭載した燃焼器を開発することで、着火・保炎性を維持しつつ、安定的に燃焼させることに成功しました。世界的な環境基準を遥かに上回る低NOx化を求めて、解析だけではなく、何種類もの燃焼器を試作しました。

今後、人口増加や新興国の経済発展とともに、環境問題はますます深刻になります。エネルギーの供給に携わる者として、いかに環境負荷を減らせるか。新たな挑戦が始まっています。

※3 希薄予混合燃焼:空気と燃料を十分混ぜ合わせてから燃焼させる燃焼方法。NOx排出量は燃焼温度が低いほど減るため、燃焼限界近くまで燃料の濃度を薄くしています

航空機製造で鍛えたタービン翼。その翼にしか出せない耐久性がある

川崎重工のガスタービンには、航空機エンジンに求められる高い品質基準が活かされています。川崎重工ではジェットエンジンのパーツ製造も行っており、その製造技術や品質管理が発電用ガスタービンのパーツ製造も支えています。

ガスタービンの効率向上のためには、燃焼ガスの高温化が避けて通れません。しかし、従来のパーツ設計・製造方法のままでは、その温度負荷の中で目標運転時間を達成することは不可能でした。

そこで私たちは、タービン翼の内部に空気を流し、より効率的に冷却する方式を採用しました。また、タービン翼にも新たな材料を使用し、翼の表面に熱に強いセラミックスをコーティングすることで、耐久性を飛躍的にアップさせました。

どんな過酷な状況下でも耐えうるクオリティ。大空で人の命を預かるために鍛え抜かれた翼は、地上に降りても折れることはありません。

川崎重工業株式会社
ガスタービンビジネスセンター
技術総括部
産業ガスタービン技術部
エンジン技術二課
志賀 早希子
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