高効率・水素対応ガスタービン L30A

公開日2015.07.31

天然ガスや都市ガスなどを燃やして動力を得るエンジンの一種、ガスタービン。川崎重工が2012年に開発した30MW(メガワット)級産業用ガスタービン「L30A」は、発電効率40%以上、同クラスでは世界最高レベルを達成しています。そこには、川崎重工が長年培ってきた産業用中小型ガスタービンの技術と、航空機用ジェットエンジンの高度な要素技術が結集されていました。

世界最高レベルの30MWガスタービン

ガスタービンは、天然ガスや都市ガスなどを燃やして動力を得るエンジンの一種です。まず大量の空気を吸い込み、「圧縮機」で圧縮。高圧になった空気に「燃焼器」で燃料を噴射して燃やし、高温・高圧ガスを作り、そのガスで「タービン」を回転させます。この回転力を利用して発電したり、さらに排気熱を回収して蒸気を作ったりするのです。

川崎重工が2012年に開発した30MW級産業用ガスタービン「L30A」は、その発電効率が40%以上で、同クラスでは世界最高レベルを達成。排気熱も利用するコージェネレーションシステムにした場合の総合熱効率は83%を超えます。さらに、独自開発の燃焼器により窒素酸化物(NOx)の排出量は世界最高レベルの15ppm以下、最近注目されている水素燃料との混焼も可能です。

ちなみに30MWの発電量は、一般家庭1万5,000世帯の電力使用量に相当します。

発電効率の向上は、「空気の圧縮比」、「タービン入口のガス温度」、「要素効率」の3つがポイントになります。L30Aは、川崎重工が長年培ってきた産業用中小型ガスタービンの技術と、航空機用ジェットエンジンの高度な要素技術を結集し、世界最高レベルのスペックを実現しています。

「激戦区」30MWクラスでNo.1 発電効率40.1%

川崎重工は1972年に産業用ガスタービンの開発に着手。独自の技術の創造は、コージェネレーション用として同クラス機(6〜8MW)では国内初の累計生産台数が100台を突破した「M7型」などのヒットを生み出しました。

L30Aは、世界で最も販売競争の厳しい30MWクラスへの参入にあたり社内の技術開発部門などと協力し、最新の設計技術を駆使して高効率を実現しました。コージェネレーションでの総合効率も高く、図抜けた性能に注目が集まっています。

ガスタービンの技術ポイント

ガスタービン技術進化のポイントは、圧縮機、燃焼器、タービンの3つです。

01 圧縮機
効率的に空気を圧縮するための羽根の形状(翼列)の設計
02 燃焼器
圧縮された空気と燃料がムラなく燃えるように混合する仕組み・形状の開発
03 タービン
高温・高圧のガスに耐えられる素材や冷却技術の開発

水素も一緒に燃やしてCO2削減!

L30Aは、CO2排出量がゼロの水素を補助的な燃料として使うこともできます。DLE(Dry Low Emission)方式と呼ばれる追い焚き水素混焼方式で、燃焼器1缶当たりに4つある追い焚きバーナで燃やします。

水素混焼率は最大60%(体積換算)で、①燃える速度が速い、②燃やしたときの温度が高い、という水素の特性に合わせた燃やし方が開発されました。

JAXA高温高圧燃焼試験設備での燃焼試験

吸気ダクト

外部から空気を吸入します。

圧縮機

大気から吸い込まれた空気は、運動エネルギーを与えて圧力を上げるための回転する動翼列と、気流の向きを整えるための回転しない静翼列の組み合わせを14段重ねた翼列を通り、圧縮されます。最新の設計技術により24気圧への圧縮を効率良く実現しました。 

圧縮機ロータ 

空気は圧縮が進むほど高温になるため、圧縮機のロータ(回転軸)は後方になるほど高温になります。そこでロータの前半を鉄系合金、後半をニッケル系耐熱合金で構成することで高温での強度を確保しています。

異質な金属を繋げて一つの部品にするために、航空機用ジェットエンジンの製造に用いる電子ビーム溶接を活用しています。 

燃焼器

圧縮された空気に天然ガスなどの燃料を噴射して燃焼させて高温のガスを発生させます。NOx排出量を抑えるために、8個の燃焼器に3種類のバーナーを用いた独自の「希薄予混合燃焼技術」がポイントです。 

排気ダクト

排気の温度は500℃程度。この熱を利用したコージェネレーションでエネルギーを有効利用します。 

ガスジェネレータタービン

燃焼器で発生させた高温・高圧ガスを2段の羽根車により回転力に変換して圧縮機を駆動させます。入口のガス温度は約1,300度で、これに耐えられるタービン羽根の開発技術は世界トップクラスです。 

パワータービン

ガスジェネレータタービンを通過したガスを3段の羽根車により回転力に変換して発電機などの装置を駆動させます。回転力を効率良く得るため、全てのタービン羽根の上端に「チップシュラウド」を装備しています。 

メンテナンスが容易な分割構造

パワータービンの手前でガスジェネレータとの分離が可能。また、ガスジェネレータのケースは水平2分割タイプにすることでメンテナンスが容易になっています
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川崎重工業株式会社
ガスタービン・機械カンパニー
ガスタービンビジネスセンター
技術総括部
ガスタービン開発部
計画課長
奥戸 淳
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川崎重工業株式会社
ガスタービン・機械カンパニー
ガスタービンビジネスセンター
技術総括部
要素技術部 燃焼器課
基幹職
小田 剛生
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川崎重工業株式会社
ガスタービン・機械カンパニー
ガスタービンビジネスセンター
技術総括部
ガスタービン開発部 第一開発課
基幹職
中山 智

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